チャーリー・ワッツが影響を受けたドラマー ザ・ローリング・ストーンズのオリジナルメンバーであり、ストーンズのビートを叩き出し、同時に屋台骨として支える心強いドラマーがチャーリー・ワッツです。ライブではいつもニコニコしてドラムを叩いています。
ライヴ・アット・フルハム・タウン・ホール
ギターのキース・リチャーズはチャーリーのドラムを非常に頼りにしているんですよね。昔からチャーリーのドラムセットの近くに陣取ってリズムを刻むキースというのはライブではよく見られる光景です。時には全く観客の方を見ずに、チャーリーの方ばかり見ているときもあるくらい。70年代前半のライブでよく見られます。現在でもそういうキースの姿を見かけますけどね。これは60年代初期のライブで観客の黄色い声援がうるさすぎで、バンドの音が全く聞こえないために取った策だったとキースは述べています。
キースがリズムが変化するときに合図を送るのはまずチャーリー。そしてそれを読んで少し先回りしてベースラインを弾くのがビル・ワイマン(脱退してしまったオリジナルメンバーでありベーシスト)。それがローリングストーンズの独特のビートになっているとはビル・ワイマンの発言。
ホワイト・ライトニン~ソロ・ボックス(4CD+DVD)(完全生産限定盤)(日本語字幕付DVD収録)
チャーリーはビルとは割と仲が良かったようですね。ドラマーとベーシストはうまくやっていかないと曲が死んでしまうのでとても重要なことです。まぁストーンズの場合はキースのギターが重要で、チャーリーもキースの音だけ聴いていれば間違いないと言っています。
ビルが脱退してしまった今ではサポートベーシストのダリル・ジョーンズといいコンビとなっています。チャーリーは無類のジャズ好きで、ダリル・ジョーンズはマイルス・デイヴィスとも演奏していたので気に入ったんでしょう。そういえば、雑誌のインタビューかなんかで最終的にベーシストの決定にはチャーリーの一言が決め手になったとか書いてあったような・・・。
チャーリーは自分のドラムの腕に関して非常に謙遜していて「ジャズドラマーがたまたまロックバンドでドラムを叩いているだけ」とコメントしています。また「ドラムソロをやるわけでもなく8ビートを叩いているだけで特に難しいこともやっていない」とも。
チャーリーのドラムの特長として、ハイハットを抜く叩き方がありますが、あれはやってみると意外と出来ないです。ビートが不自然になってしまいます。元YMOの高橋幸宏がチャーリーのドラムの叩き方として、マネして叩いたときは上手でしたけど。あれはさすがだなぁと思いましたね。あれがストーンズの独特なビートの1つになっているのは間違いないです。80年代くらいからですね、あのような叩き方になったのは。
今回はそんなチャーリーが影響を受けたドラマーを紹介します。
アート・ブレイキー
スタイルがずっと変わらないのに聞くたびプレイが新鮮ということでチャーリーは非常に尊敬しているそうです。常に若手を育ててきたということについても敬服しているようです。
バードランドの夜 Vol.1+2
バディ・リッチ
最初チャーリーはバディ・リッチのようなドラマーになりたかったそうです。しかしバディ・リッチの超絶テクは凄まじいですね。
ザ・ロアー・オブ’74
トニー・ウィリアムス
チャーリーが聞いた瞬間に虜になってしまったドラマーです。チャーリーにとって最高のドラマーだそうです。
ニュー・トニー・ウィリアムズ・ライフタイム
ワタクシはトニー・ウィリアムスが参加しているハービー・ハンコックの「処女航海」も好きです。これ名盤ですよ〜。
処女航海
チャーリーは来日すると必ず日本のレコードショップを回って、ジャズのレコードやCDをごっそり買って行くそうですよ。チャーリー曰く、日本にはイギリスやアメリカでリリースされていないレコードやCDがあるので品揃えがいいということらしいです。確かに日本には本当に色々ありすぎてスゴイですからね〜。ブートもそうですが。ブートなんて実際のライブの3日後に発売されていたりします。
チャーリーは本当にジャズが好きで自分のソロアルバムも内容はジャズ。恐らく好きってもんじゃないくらい、相当ジャズに傾倒していると思われます。キースやロンのソロはストーンズの延長線上という感じですが、チャーリーのソロは全く別モノですね。
あるときチャーリーはミック・ジャガーに「レコードにサックスを入れたいんだけど、誰が一番いいんだい?」と聞かれたらしいです。その答えが「ソニー・ロリンズ」。天才と言われたサックス奏者です。チャーリーはソニー・ロリンズほどの大物はどうせ来ないだろうと半ば期待せずにいたそうです。そうして後日チャーリーがスタジオに入ったらソニー・ロリンズが目の前にいてビックリしたそうですよ。改めてミック・ジャガーをスゴイと思ったそうです。
ソニー・ロリンズは「刺青の男」というアルバムの中で3曲サックスを吹いています。Slave(奴隷)、Neighbours(ネイバーズ)、Waiting on a Friend(友を待つ)の3曲。ワタクシが一番好きなのは「友を待つ」のサックスですね。哀愁があって素晴らしいです。
刺青の男(紙ジャケット仕様)
もう一つチャーリーの話題。
あのイギリス一気難しいドラマーと言われた元クリームのジンジャー・ベイカーはチャーリー・ワッツのドラムはすごく認めており、人柄も称賛しています。ただ、ストーンズは嫌いみたいですが(苦笑)。ジンジャー・ベイカーもジャズドラマーですからね。ジンジャー・ベイカーはレッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムのこともこき下ろしたりしてます。
チャーリーはザ・ビートルズのリンゴ・スターやザ・フーのキース・ムーンとも仲が良かったようです。やはりドラマー同士ということもあるでしょうね。結構交流があったようです。
チャーリーは元ファッションデザイナーだけあってスーツがキマってきます。イギリス紳士という感じ。ロックバンドというより、その出で立ちはジャズドラマーですね。プロモビデオでもチャーリーがスーツ着ているシーンがありますしね。
これからもあの笑顔で元気にドラムを叩いてほしいものです。6/2でもう76歳ですね。